予防運動とは?

「予防運動」とは、疾患や障害が起きてからの治療ではなく、なる前に運動によって予防しよう、という考え方です。
一般社団法人日本ヘルスファウンデーション協会では、特に腰痛や膝痛などの骨・関節の不調が起きる前の予防運動に力を入れています。
どんな運動をするの?
骨・関節の不調が起きる原因は、大きく2つあります。予防運動のポイントは、原因に合わせた運動を選択すること。単なるトレーニングではなく、日常の姿勢や歩き、動き方の癖を見直すことが大切です。
骨格特性にあった運動を!
私たちは一人ひとり顔が違うように、それぞれの骨格にも個性があります。これを「骨格特性」といいます。骨格にあった自然な体の使い方をしていれば、骨・関節への負担は少ないです。しかし、骨格を無視した運動を行なっていると、骨・関節が悲鳴をあげるのです。
(例)開脚の時のつま先の向きには個性がある!
床に脚を大きく開いて前屈する時、つま先の向きは天井・床どちらに向いた方がやりやすいでしょうか?
実は大腿骨前捻角(だいたいこつ ぜんねんかく)の角度には個性があると言われています。大腿骨前捻角とは、太ももの骨が内旋(うち回し)しやすいか、外旋(外回し)しやすいかを決める、骨格特性のひとつです。
一般的な大腿骨前捻角の角度の方は、つま先が上向きの方が開脚+前屈しやすいです。
大腿骨前捻角の角度が大きい方の場合、つま先が床に向いた方が開脚+前屈しやすいという特徴があります。
このように、動き方や動かしやすい方向というのは骨格特性の影響を受けます。骨格特性を無視した動きというのは、関節や筋肉などに負担をかけます。
「自分の骨格を正しく知ること」が予防の第一歩です。
大腿骨前捻角だけでなく、頭から足まで様々な骨格特性があります。

-代表的な骨格特性-
- 脚長差
- 前捻角
- 腸骨回旋偏位
- 側弯症
- フラットバック
- 臼蓋形成不全
- 斜頭

骨格に合わせて行える予防運動としておすすめなのが、ヨガ・ピラティス・ウォーキングです。特に以下の3つのコンテンツでは、骨格特性に考慮した動き方を重視しています。
- ヨガ
- アーサナアナトミカルアプローチ
- ピラティス
- ファンクショナルローラーピラティス
- ウォーキング
- エボリューションウォーキング
*骨格特性の一つ「脚の長さの左右差」については、「脚長差とは」のページで詳細に説明しています。
生活習慣の見直しを!
いくら運動やトレーニングをしていても、日常多くの時間を過ごす立ち方・座り方等に問題があれば骨・関節の不調を引き起こします。
食生活と同じように、姿勢習慣を見直すことが大切です。
姿勢習慣チェックリスト

-座り方-
- 脚を組んで座るクセがあり、必ずどちらかの脚を上にしている
- 床に座るとき、横すわりのクセがある
- 頬杖をついて座るクセがある
- いつも座っている場所で、左右どちらかに体を傾けたり捻る傾向がある
(例:TVが右側にあり右に体を捻っている、PCのモニターの位置が左側にあり上体はいつも左に向いている) - 左右均等ではなく、いつもどちらかのお尻に体重がのっている

-立ち方-
- 「休めの姿勢(左右どちらかの足に体重をかけた立ち方)」をすることが多い
- いつも膝がつっぱっている(膝がピンと伸びきって関節をロックしている)
- 立っていると前腿が張る感じがする
- 重心がいつもつま先にのっている(ヒールのある靴をよく履いている)
- 視線が低い(足元や床を見ていることが多い)

-その他-
- カバンをいつも左右どちらかの肩にかけている
- 仕事柄、左右どちらかの手をあげた姿勢や片足に体重を載せた姿勢を多く取る
- 日常的にスポーツをしている・日常的に楽器の演奏をしている
一つでもチェックがついた場合、姿勢習慣が将来の不調の原因となる可能性があります。
姿勢習慣には、すぐに見直せるものと、お仕事や趣味などを続ける上で仕方のないものがあります。体の一部分に負担のかかる姿勢や動作を多く行う場合は、反対の動きを行なう等、ご自分でケアする方法を身につけることが大切。
まずは、ご自身の姿勢のクセを洗い出してみましょう。
姿勢習慣の見直しには、予防運動アドバイザーによる「姿勢チェック」を受けるのがおすすめです。予防運動アドバイザーは運動指導のプロフェッショナル。「アセスメント(お体の状態の評価)」によって、姿勢・骨格特性を明確にし適切な助言をしてくれます。
プロフェッショナルによるアセスメントをもとに、毎日の「セルフケア」を行うことが大切です。